4月から5月にかけてのお料理とインスピレーションの源について

季節の食材, 料理長たより

渋谷の隠れ家で日本料理を提供している円山町わだつみです。

今回は広報の長尾が、円山町わだつみの料理長・佐藤にインタビューをし、4月から5月にかけてのお薦め日本料理をお伝えします。

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4月から5月にかけてのお薦め日本料理は、下記のとおりです。

 

春野菜と二枚貝の土佐酢ジュレ掛け

筍の木の芽和え

そらまめの塩ゆで

めばると新玉葱豆腐のお吸い物

山菜の天麩羅

めばるの唐揚げ

功刀鱒の木の芽焼き

油目と桜海老の茶碗蒸し

油目と山菜のべっこう餡かけ

 

毎回趣向を凝らしてメニューを考えています。

ネーミングからは、季節感が漂っています。

文字だけでもイメージが膨らんできませんか?

 

円山町わだつみといえば、やっぱり魚介です。

春告げ魚として有名な「めばる」もメニューに取り入れています。

「油目」は「あいなめ」と読みます。

クセのない淡白な味わいなので、春の香りとの相性は抜群です。

貝類もお薦めです。春の雪解け水で、貝類が美味しくなるからです。

 

ところで、見慣れない名前をメニューに見つけました。

「功刀鱒」とはなんと読めばいいのでしょうか?

素朴な疑問に、料理長の佐藤が答えてくれました。
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「これは『くぬぎます』と読みます。富士山麓の精進川で養殖されているニジマスのブランド名です。病気に弱いニジマスは、養殖に抗生物質が不可欠なのですが、功刀鱒は一切薬品を使わずに育てられています。自然に近い環境でたくましく育てられているので、安全安心なだけでなく、身のしまりも脂ののりも段違いですよ(佐藤)」

 

詳しく聞くと、養殖者の方は12年もの歳月をかけて、周りから馬鹿にされながらも信念を曲げずに、ついに業界初の偉業を成し遂げたのだそうです。春はチャレンジの季節。功刀鱒を食べて、チャレンジ精神にあやかりたいものです。

 

功刀鱒は新芽の香る春らしい照り焼きとしても提供していますし、素材そのものの味を満喫できるお造りでも提供しています。料理長の技と、養殖者の情熱のコラボをお楽しみください。

 

それにしてもいつも疑問に思うのが、円山町わだつみの、ユニークなメニューの数々はどのように考え出されているのかということ。

料理のインスピレーションはどこから湧いてきているのでしょうか?

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「まず、食材を自分の目で見て選ぶときに湧いてきます。『今年の魚は脂がのっているから』とか『大きめのものが揚がっているから』など、食材の状態からインスピレーションが湧いてきます。食材は個体差がありますし、年によって違います。ですから例えば同じ『めばる』だったとしても、去年と今年の『めばる』は異なる食材だと考えれば、初めての食材との出会いなのでワクワクしてインスピレーションが湧くんですね」

 

同じ仕事を淡々とではなく、食材との一期一会にワクワクしながらメニューを考えているんですね。他にもインスピレーションの瞬間はあるのでしょうか?

 

「次に、生産者さんとの出会いが、私にとって重要なインスピレーションですね。円山町わだつみは、有機農家さんから直接野菜を仕入れていますが、そうした農家さんというのは、『直接来ないと売らない』という方が多い。ですから、一度直接伺います。その時に、郷土料理で食べられている方法とか、農家さんのオリジナル料理とかを聞くことがインスピレーションになりますね。」

 

毎日野菜と向き合っている方だからこそ、思いつく料理もあるのでしょう。料理人というのは調理場にこもっていては、いけないのですね。

 

「そうですね。食材について自分で確かめる必要があります。ですので、最近は自分で野菜をつくる体験をしています。その野菜がどのように育つのかを知っていると、料理に役立つことがあります。だから、円山町わだつみのスタッフみんなで、長野にミソづくりを体験しに行ってきます。ミソは日本料理の基本です。それがどのようにできているかを知っておくことは、日本料理に関わるものとして大切なことだと思うのです」

 

今回は、料理長の佐藤が、4月の料理のことから始まって、料理についての思いを語ってくれました。円山町わだつみでは、毎月季節のお品書きを出しています。情熱と工夫で、皆様のひと時を思い出の時間に変えていくお手伝いができれば幸いです。

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時を忘れて季節を感じられる日本料理でおもてなしをする円山町わだつみでした。